君がくれた笑顔で笑いたい

本当のキミを知りたいの キラキラで目が眩むけど

役者・安田章大の真髄を見た。-フラジャイル第5話

気がついたら涙が流れていた。

あたしが知ってる、エイトにいる安田章大はいつも笑顔だ。
自分から話を振ることは少ないけれど、いつもニコニコとみんなのやり取りを見守っている。
フラジャイルの小早川も、最初から笑顔だった。
でも、その笑顔は、当たり前だけれど普段の章ちゃんとは違う、乾いたような、悲しいような笑顔だった。


ピアノを弾く小さな手。かわいい。
母親の迎えを待つ子供に向ける笑顔は、どこか少し歪んでいて、少し苦しそうで。
小早川の歪な笑顔の理由は、その直後に女性保育士の口から明らかになる。
「がん」。
入院時の説明でも、余命1年という自分の運命に抗う意味も見つけ出せない彼は、ただ微笑むだけだ。

そんな彼から最初に笑顔が消えるのは、野村周平くん演じる検査技師の森井と川べりで語り合うシーン。
この直前の二人乗り、眼福…。
あんな2人組いたら、全速力で追いかける。(←変質者)
そして章ちゃん、パーカーとバックパック似合いすぎる。コンパクトさ強調されまくり。

なにか治療を試してみたらという森井に民間療法とか、と言った後、
「じゃあ…オクトレオチドとか。」
今までヘラヘラしてた小早川の顔から表情がなくなる。

このシーンで、もう最後まで泣かずに観るという選択肢は手放した。
ココの小早川の声のトーンとか、目線とか、胸がキューンってなる。

その後、夢を諦めた過去の自分を小早川に重ねてしまった森井によって病室でひと騒動起きるのだけど、このシーンの持つ力がすごい。
そしてこのシーンがどれだけ説得力を持つかは、章ちゃんと野村くんの力量次第なのだけど、2人ともすごい。
森井が担当の稲垣先生に対して
「残された時間を有意義に使えだなんて、要するに諦めて死ぬのを待てってことじゃないんですか!!」
と激昂するのだけれど、稲垣先生を抑えながらなぜ患者が制してるんだ…動揺している表情が、とても素晴らしい。
そして「そうだよ、こいつはもう諦めてますよ」という森井の発言。表情。
野村くん、いい役者だなぁ。
そんな森井の発言を、小早川は稲垣先生の影で俯きがちに聞いていて所在無さげなのが切ない。

そしてついにここで岸先生が登場するわけだけど、ここですごくいいなと思ったのが、岸先生が割って入るタイミング。
森井が、やり方は強引だけど小笠原の為に心が動いてしまったことや、どうしても小笠原に伝えたかった事を言い終わるまで待ってくれてる事に、森井への愛情を感じる。
岸に「今、生きてる。」
と言われた後の小早川の表情が崩れる瞬間…。章ちゃん…涙

稲垣先生と今後について話すシーンの小早川は、まるで子どもみたいで。
ベッドの上に三角座りって、ズルくないっすか…。ちいちゃい章ちゃんがますますちいちゃくなって、萌えの塊だよ…
きっといままで、流されるようにいろんな事を諦めて生きてきて、初めて生まれた自分の「死にたくない」「生きることを諦めたくない」という感情をどうしていいか分からなかったのかな。
静かに涙を流しながら、いやいやと首を振る姿に、思わずぎゅうってしてあげたくなる。

こうして「生きること」を諦めないという選択をした小早川は、森井と心を通わせていく。
あたしが一番好きなのは、この後の、病院の屋上での小早川と森井のやり取りだ。
ベンチから立ち上がって、空を見上げて。
「自転車に乗せてもらって楽しかった」
そう言ってやわらかく笑う小早川は、まっすぐで。
そんな子どもみたいな…当たり前にみんながやっているような事を、柔らかく微笑みながら「楽しかった」なんて言われたら、泣くしかない。涙腺崩壊。
しかも、悩んでる森井の心のわだかまりを溶かしてしまうなんて。小早川くんは天使かなにかなのかな??


このあと、ドラマとしては衝撃の展開を迎える*1のだけど、
小早川として生きていた章ちゃんは普段はあまり見せてくれない顔をたくさん見せてくれて、やっぱりあたしは安田章大という「役者」が大好きだと再認識した。

自分でも「お芝居することがとても好き」と言っているから、もっともっと役者のお仕事がきたらいいなと思う。

今年はスキャナーもあるし。
できれば、また舞台のお仕事がきたらいいな。
新感線のいのうえ歌舞伎みたいながっつりな時代物、観てみたい。
古田支配人とぜひ!!*2

*1:最後、小早川の危篤を知った森井が病室まで走っていくシーン、すごく好き。 短い時間でも、2人の間に絆ができてたんだなって思えるから。 自分が死ぬかもしれない時に、急いで駆けつけようとしてくれる人がいるって、それだけで生きた意味があると思う。

*2:関ジャムで共演中の古田新太さん。古田さんは「劇団 新感線」という日本を代表する劇団の看板役者です。